三次元測定機の基準の取り方入門:原点設定と手順

三次元測定機の基準の取り方入門:原点設定と手順 機械加工

切粉ラボ運営のMakaです。三次元測定機の基準の取り方って、最初にハマりやすいポイントなんですよね。基準面や基準線をどう作るか、原点設定をどこに置くか、座標系をどう合わせるかで、結果がガラッと変わります。

検索で多いのが、ワーク座標系と機械座標系の違い、アライメント(位置合わせ)のやり方、キャリブレーションやプローブ校正の必要性、接触式と非接触式の測定方法、測定手順の流れ、測定条件の決め方、温度管理や振動対策、測定誤差の原因、測定点の取り方あたりの悩み。ここ、気になりますよね。

キリコン
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この記事では、三次元測定機の基準の取り方を「なぜそうするのか」から整理して、現場で迷いにくい手順に落とし込みますよ。あなたの測定が安定して、図面との照合がスムーズになればうれしいです。

  • 基準面・基準線・原点設定の考え方
  • 機械座標系とワーク座標系の違いと使い分け
  • プローブ校正から測定までの手順とコツ
  • 測定誤差を減らす環境管理と測定条件
  1. 三次元測定機の基準の取り方基礎
    1. 機械座標系とワーク座標系
      1. ワーク座標系がないと何が困る?
      2. 初心者がまず押さえるチェックリスト
    2. 基準面の作り方と点取り
      1. 基準面に向いている面・向いていない面
      2. 点取りの配置が結果を決める
      3. 面が出ないときの対処(現場あるある)
    3. 基準線設定と座標軸の決め方
      1. 基準線は「長さ」と「加工の安定」で選ぶ
      2. 方向(プラスマイナス)も決めておくと迷わない
    4. 原点設定の手順と注意点
      1. 実体のある原点と仮想原点、どっちがいい?
      2. 原点を決めたら「向き」も必ず確認
    5. アライメント位置合わせのコツ
      1. アライメントの考え方は「3-2-1」が基本
      2. ベストフィットは便利だけど、検査では要注意
  2. 三次元測定機の基準の取り方実践
    1. キャリブレーションとプローブ校正
      1. 「校正」と「確認」を分けて考えると事故が減る
      2. 複数スタイラス運用のコツ
    2. 接触式と非接触式の測定方法
      1. 接触式の“強いところ”を活かす
      2. 非接触式は「条件が命」
    3. 測定条件設定と測定誤差の原因
      1. 測定条件は「再現性」を最優先にする
      2. ゲージR&R的に「人・段取り」を疑う視点
      3. 単位・桁ズレは“最初に疑う”
    4. 温度慣らしと振動対策
      1. 温度差があると、どれくらいズレる?(目安)
      2. 温度慣らしを成功させるコツ
      3. 振動は「床・人・設備」から来る
    5. 三次元測定機の基準の取り方まとめ
      1. 迷ったら、この順で戻ると早い
      2. 現場で使える「超ざっくり手順」
      3. 最後にひとこと(大事)

三次元測定機の基準の取り方基礎

三次元測定機の基準の取り方基礎

まずは「基準って何を決めているのか」を腹落ちさせましょう。ここが分かると、機種やソフトが変わっても迷いにくくなります。

機械座標系とワーク座標系

三次元測定機には大きく機械座標系ワーク座標系があります。ざっくり言うと、機械座標系は「測定機そのものの基準」、ワーク座標系は「測定対象に合わせて作る基準」です。

ここをちゃんと理解しておくと、段取り替えや測定プログラムの流用がめちゃくちゃ楽になります。たとえば機械座標系は、測定機の定盤やガイドの“世界”です。測定機が覚えている原点(ホーム)や移動量は、基本的にこの座標系で管理されます。一方で、ワーク座標系は「この部品を図面の基準で見たら、Xはこっち、Yはこっち、Zは上ね」という“部品の世界”を作るもの。だから、部品を定盤のどこに置こうが、多少傾こうが、ワーク座標系さえ正しく作れれば、図面基準で同じ測定ができます。

現場でよく起きるのが、ワークを定盤に置いたときに“見た目は真っすぐ”でも、実はわずかに傾いていたり、置き位置が毎回違ったりするケース。ここを放置すると、同じ部品を測っているのに座標値がズレて、穴位置や面高さが安定しません。さらに厄介なのは、そのズレが「一定」じゃないこと。日によって、クランプの掛け方や置き癖で微妙に変わるから、測定結果が散らかって原因が見えにくいんですよね。

ワーク座標系がないと何が困る?

ワーク座標系が曖昧だと、測定が「測定機に対しての値」になってしまい、図面で欲しい「部品としての値」になりません。たとえば穴位置を見たいのに、部品が少し回転して置かれていたら、X方向にズレたように見えたり、Y方向にズレたように見えたりします。図面の寸法体系(データム)と測定の寸法体系がズレると、現場でありがちな“会話が噛み合わない状態”になります。

ワーク座標系を作る目的は、置き方のズレを吸収して、図面基準で測れる状態にすることです。測定機の都合ではなく、部品の基準(データム)で測るための準備だと思うとスッと理解できます。

初心者がまず押さえるチェックリスト

  • 機械座標系は測定機の世界、ワーク座標系は部品の世界
  • 置き位置が変わっても同じ結果にしたいなら、ワーク座標系が必須
  • 「図面の基準に合わせる」=ワーク座標系を図面データム順に作ること
  • 測定がブレるときは、まず座標系(基準取り)を疑う

ありがちな落とし穴

ワーク座標系を作ったつもりでも、基準面の点取りがバリに乗っていたり、基準線が短すぎたりすると、座標系が安定しません。座標系が不安定だと、その後どれだけ丁寧に測っても結果が散ります。ここ、地味だけど超重要です。

基準面の作り方と点取り

基準面は、座標系の「姿勢」を決める最重要パーツです。基準面が決まると、その面に対して垂直な方向が軸になります。一般的には、図面で基準になっている面(データム面)や、機能的に重要な面を選びます。

点取りは最低限で言えば3点で面が作れます。ただ、実務では3点ギリギリはおすすめしません。理由はシンプルで、バリ・打痕・局所的なうねりに引っ張られやすいから。面を安定させたいなら、面内で離した位置から複数点を取って、面の“平均”を見にいく方が安全です。

基準面に向いている面・向いていない面

基準面は「広くて、加工状態が安定している面」が基本的に強いです。逆に、細いリブ上の面や、肉薄で反りやすい面、クランプでたわむ面は基準面にしにくいです。図面で指定があるならそれに従うのが大前提ですが、工程内測定などで“暫定の基準面”を作るなら、安定する面を選ぶのがコツです。

点取りの配置が結果を決める

点取りの配置が結果を決める

点取りで意識したいのは、点数だけじゃなくて配置です。面の近い場所だけを触っても、その局所の状態を面全体の代表として扱ってしまうので、傾きがブレます。端と端、端と中央、みたいに離して取ると、面の姿勢が安定します。スキャニングが使えるなら、条件次第では面をなぞって点群で面を作るのも有効ですが、ここでも“バリや段差”を拾うと面がズレるので、測定範囲をちゃんと決めておくのが大事です。

キリコン
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バリの影響でワークが傾くのはあるあるです

点取りのコツ

  • バリや面荒れが少ないところを選ぶ
  • 面の端と中央など、面内で距離を取る
  • クランプで面が歪んでいないか意識する

面が出ないときの対処(現場あるある)

「同じ面を取ってるのに、日によってZがズレる」みたいなときは、だいたい原因が3つです。ひとつは清掃不足(切粉・油・打痕)。次に固定の歪み(締めすぎ・支持点不足)。最後が点取り位置の再現性不足(毎回違うところ触っている)。まずはこの順で潰すと、意外とスッと収まりますよ。

基準面は「測定の土台」なので、ここがブレると全部ブレます。面の点取りは“丁寧すぎるくらい”でちょうどいいです。

基準線設定と座標軸の決め方

基準線設定と座標軸の決め方

基準線は、基準面の上で「どちらをX方向にするか」を決める役割です。よく使うのは、長いエッジ、溝、穴列の中心線、穴の軸方向など。基準線が決まると、基準面上での回転(ヨー方向)が固定されます。

ここでのハマりどころは、どの要素を線として扱うか線の向きをどちらに取るか。図面上で寸法の起点になっている方向に合わせるのが基本です。基準線の点取りも最低は2点ですが、こちらも複数点で安定化させる方が無難です。

基準線は「長さ」と「加工の安定」で選ぶ

基準線に向くのは、長いエッジや、離れた2つ以上の穴中心を結ぶ線など、スパンが取れる要素です。短い要素で線を作ると、点取りのわずかなズレが角度誤差として増幅されます。特に穴中心で線を作る場合、穴自体の真円度や面粗さ、測定点数でも中心が微妙に変わるので、できれば“穴列”のように複数穴の中心を使って方向を決めると安定します。

方向(プラスマイナス)も決めておくと迷わない

座標軸は方向があるので、Xが増える方向、Yが増える方向をチームで揃えておくと、報告書や加工フィードバックがスムーズです。たとえば「加工基準側をマイナスにしない」みたいな運用ルールを作っておくと、現場の混乱が減ります。細かいけど、地味に効きますよ。

短いエッジや小さい面で基準線を作ると、点取りの少しのブレが角度誤差になって増幅します。できるだけ“長い基準”を選ぶのがコツです。

基準線に使う要素向いているケース注意点
長いエッジ外形基準が明確、加工面が安定バリ・欠けで点が荒れると角度がズレる
溝の中心線溝が機能基準、方向性が重要溝幅ばらつきで中心が動くことがある
穴中心同士穴列基準、位置決め穴がある点数不足で中心がブレやすい
円筒の軸シャフト・ボスの軸が機能基準接触方向で軸算出が変わる場合がある

原点設定の手順と注意点

原点設定は、ワーク座標系の「位置(0,0,0)」を決める作業です。基準面と基準線で姿勢が決まっても、まだ「どこがゼロか」が決まっていない状態なので、最後に原点を置きます。

原点の取り方は大きく2パターンです。ひとつは、角や穴中心など実体のある点を原点にする方法。もうひとつは、2本の線の交点など仮想交点を原点にする方法です。図面で“どこが基準か”が決まっているなら、そこに寄せるのが基本です。

注意点として、原点を「取りやすい場所」に置くと、後で図面照合が面倒になります。測定の目的が検査なら、最初から図面の基準(データム)に寄せた原点を作る方が、報告書も工程内フィードバックも楽になります。

原点設定の手順と注意点

実体のある原点と仮想原点、どっちがいい?

実体のある原点(角・穴中心)は、再現性が取りやすいのがメリットです。特に穴中心は、点数をしっかり取れば、触る人が変わっても再現性が出ます。一方で角は、面取りやバリ、欠けの影響を受けやすいので注意。角を原点にするなら、角そのものではなく、面同士から“理論交点”を作る(仮想交点)ほうが安定することもあります。

原点を決めたら「向き」も必ず確認

原点が合っていても、軸の向きが反転していると、加工へのフィードバックが逆方向になって事故ります。たとえば「X+方向に穴がズレている」と言ったのに、現場では逆に補正してしまう、みたいなやつ。これ、ほんとに起きます。だから、原点設定後にやってほしいのが、既知寸法の確認です。図面で確実に分かる寸法(例えば穴ピッチや外形幅)をサクッと測って、座標の向きが図面と一致しているか確認しておくと安心です。

原点設定の実務チェック

  • 原点は図面のデータム基準に寄せる
  • 角はバリ・面取りの影響が出やすいので要注意
  • 原点設定後、既知寸法で軸の向きを検算する
  • 同じ部品を繰り返すなら、原点取りの点取り位置を固定する

原点だけ“取りやすい場所”に変えると、図面照合のロジックが崩れてミスが増えます。検査が目的なら、最初から図面の基準で戦ったほうが結局早いです。

アライメント位置合わせのコツ

アライメント(位置合わせ)は、機械座標系とワーク座標系の関係を作る工程です。ワークを完璧に真っすぐ置けるなら理想ですが、現実は難しいので、測定側でズレを“解釈”して合わせ込みます。

コツは2つ。ひとつは基準の優先順位を固定すること。検査では、図面のデータム順に合わせるのが基本で、むやみに全体をベストフィットさせると、図面基準から外れて「合ってるのにNG」「ズレてるのにOK」みたいな現象が起きます。

もうひとつは再現性を作ること。同じ部品を測るなら、固定方法・点取り位置・測定順序を揃えるだけで、結果がかなり安定します。段取りの再現性は、測定機の性能より効きます。

アライメントの考え方は「3-2-1」が基本

現場で分かりやすいのは、いわゆる3-2-1のイメージです。面で3自由度を潰して(姿勢の土台)、線で2自由度を潰して(回転を止める)、点で1自由度を潰す(位置を決める)。この考え方に沿って、基準面→基準線→原点の順に組むと、座標系がスッキリします。

ベストフィットは便利だけど、検査では要注意

形状比較やリバース用途ではベストフィットが便利な場面もあります。ただ、図面のデータム基準で合否判定したいなら、ベストフィットを安易に使うのは危険です。全体を「なんとなく」合わせてしまうと、肝心の基準がどこに置かれたのか曖昧になり、測定結果の説明が難しくなります。品質監査や客先説明で詰まるのはだいたいここです。

合わせ方向いている目的注意点
データム順アライメント検査、図面照合、工程フィードバック基準取りがシビア。点取りの再現性が重要
ベストフィット形状比較、リバース、スキャン解析図面基準の合否には不向きな場合がある
部分ベストフィット特定面・特定機能の最適化基準の意味を明確にして使う必要がある

アライメントは「どこを基準に合否を語るか」を決める作業です。ここが決まれば、測定は一気に安定します。

三次元測定機の基準の取り方実践

ここからは、現場で「測定がブレる」「結果が信用できない」を潰すパートです。校正、測定方法、測定条件、環境まで、安定化の定石をまとめます。

キャリブレーションとプローブ校正

キャリブレーションとプローブ校正

キャリブレーションとプローブ校正は、測定のスタートラインです。接触式なら、スタイラス球の径や取り付け角度、プローブの方向ごとのクセを補正して、測定機が“正しい接触点”を計算できる状態にします。

ここを省略したり、スタイラス交換後にやり直さなかったりすると、球径分のオフセットがズレたまま測定が進むので、測定値がきれいにズレます。ズレ方が一定だと気づきにくいのが怖いところ。

「校正」と「確認」を分けて考えると事故が減る

校正は、プローブやスタイラスの幾何情報(球径や方向補正)を測定機に学習させる作業。確認は、その状態が保たれているかを見る作業です。段取り替えが多い現場だと、つい「昨日校正したから今日も大丈夫でしょ」となりがちですが、スタイラスは意外と繊細で、ぶつけたり、締結が甘かったり、温度でわずかに変化したりします。だから、最小限でも「確認」の習慣を入れると、測定トラブルが激減します。

複数スタイラス運用のコツ

穴の奥や段差の裏側を測るために、L字や延長スタイラスを使うこともありますよね。ここで大事なのは、スタイラスごとに校正を取り直すことと、測定速度を落としてたわみを抑えること。長いスタイラスほど、接触圧と速度でたわみが出やすいです。測っているつもりで、実は押し曲げている、みたいなことが起きます。

運用のコツ

  • スタイラス交換・角度変更・衝撃後は校正し直す
  • 校正用の基準球や治具は清掃して扱いを丁寧に
  • 校正結果のばらつきが増えたら、プローブの状態を疑う

注意

一度ぶつけたスタイラスは“曲がってないように見えても”曲がってることがあります。校正の再現性が落ちたら、迷わず交換や点検を検討したほうが安全です。

接触式と非接触式の測定方法

接触式は、プローブで点を触って座標を取る王道です。強みは安定した精度幾何要素(平面・円・円筒など)の評価が得意なこと。一方で、点取りが多いと時間がかかり、形状が入り組んでいるとプローブが届かないこともあります。

非接触式(レーザーやカメラ)は、面で点群を取れるので形状把握が速いのが強みです。ただし、表面の反射や透明体、黒色面などで結果が不安定になりやすく、条件出しが肝になります。検査目的なら、非接触は「使いどころ」を決めて、接触式と組み合わせるのが現実的かなと思います。

接触式の“強いところ”を活かす

接触式は、要素の評価(円径、真円度、平面度、位置度など)をきっちり出したいときに強いです。点取りの設計(どこを何点取るか)をちゃんとやれば、再現性が出ます。逆に言うと、点取り設計が雑だと、せっかくの高精度が活きません。点を増やすだけじゃなくて、形状の代表になる配置で取るのがポイントです。

非接触式は「条件が命」

非接触式は、対象物の材質や表面状態の影響を受けます。光沢面はハレーションが出るし、黒色は反射が弱いし、透明体はそもそも取れないこともあります。現場だと、艶消しスプレーや拡散処理を使うケースもありますが、これは製品や要求精度によってはNGのこともあるので、運用ルールを決めておいた方がいいです。

方式得意苦手現場の使いどころ
接触式幾何要素評価、再現性届かない形状、時間検査、合否判定、工程内の寸法保証
非接触式面形状、点群、スピード反射・透明・黒色、条件出し自由曲面、形状比較、リバース系
接触式と非接触式の測定方法

結論、検査の主軸は接触式、形状把握は非接触式がハマりやすいです。両方使える環境なら、目的で使い分けるのが一番ムダがないですよ。

測定条件設定と測定誤差の原因

測定がブレる原因は、だいたい「測定条件」「固定」「環境」のどれかです。測定条件で効くのは、測定速度、接触圧(プローブの押し付け)、点数、スキャニングの設定、フィルタや評価方法など。特に、点数が少なすぎると、局所の面荒れや当て方の癖が結果に直撃します。

誤差の原因は複合します。たとえば、細長いスタイラスはたわみやすいし、ワークが薄板ならクランプで歪みます。さらに、測定方向が変わると当たり方が変わって、同じ要素でも結果が揺れます。

測定条件は「再現性」を最優先にする

測定の目的が検査や工程管理なら、まず優先すべきは再現性です。極端に言うと、速く測れても毎回値がブレるなら使い物になりません。測定速度は、速すぎると接触時の跳ね返りや当たり癖が出やすく、特にエッジ近傍や小径穴で誤差が増えがちです。点数も同じで、少なすぎると局所の状態に引っ張られますし、多すぎると時間がかかる。だから、現場では「要素ごとの最適点数」を決めて、固定化する運用が強いです。

ゲージR&R的に「人・段取り」を疑う視点

測定がブレると、つい機械の精度を疑いたくなるんですが、実際は「人の当て方」「段取り」「清掃」の影響が大きいことも多いです。たとえば、手動で点取りしているなら、プローブの当てる方向が毎回ズレるだけで、穴中心の算出が変わります。固定方法が変わるとワークがわずかに歪んで、面高さが変わります。こういう“運用のばらつき”は、設備更新より先に潰せるので、まずはここを整理するのがコスパいいです。

よくある誤差要因現場での対策例
点数が少ない要素に対して点を増やし、配置も分散させる
スタイラスのたわみ短く太いスタイラスに寄せる、速度を落とす
固定の歪み支持点を増やす、締め付けを見直す
測定方向の偏り点取り方向を揃える、再現性のある手順にする

単位・桁ズレは“最初に疑う”

あと、単位の取り違えは一発で事故ります。図面公差と測定値の感覚がズレるときは、まず単位と桁を疑うのが安全です。うっかりを防ぐなら、ミクロンとマイクロの違いも一度押さえておくと楽になります。

注意

測定条件(速度・点数・フィルタなど)は、製品の要求精度や形状で最適解が変わります。この記事の内容は現場での一般的な考え方として捉えてください。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

温度慣らしと振動対策

温度慣らしと振動対策

三次元測定機は環境の影響を強く受けます。特に温度。金属は温度で伸び縮みするので、測定室とワークの温度差があると、寸法が安定しません。一般に計測では基準温度を20℃として扱うことが多いですが、重要なのは「一定に保つこと」と「ワークの温度を馴染ませること」です。

ここは根拠も押さえておきましょう。寸法の仕様や検証で使う標準参照温度として20℃を定める考え方は、国際規格の枠組みに入っています。(出典:ISO『ISO 1:2016 Geometrical product specifications (GPS) — Standard reference temperature for the specification of geometrical and dimensional properties』)

温度差があると、どれくらいズレる?(目安)

温度の影響は材料の線膨張係数で変わりますが、たとえば鋼材だと「数µm/100mm/1℃」くらいのオーダーでズレます。ここで言いたいのは、数値を暗記することじゃなくて、“1℃でも、精密測定では無視できない”って感覚です。だから、測定室に入れた直後のワークを測るのは危険。ワークの温度が室温に馴染むまで待つ(温度慣らし)だけで、結果が急に安定することがあります。

温度慣らしを成功させるコツ

温度慣らしは、ただ放置すればいいわけじゃなくて、置き方も大事です。大きいワークを床や壁際に置くと、空調の風や外壁の影響で温度ムラが出ることがあります。できれば測定室の安定した場所に置いて、空気が回るように浮かせて置く、みたいな工夫が効きます。測定機側も同じで、電源投入直後は温度が落ち着かないことがあるので、運用ルールとして“ウォームアップ”を入れている現場もあります。

振動は「床・人・設備」から来る

振動も同じで、測定中に床が揺れると点がブレます。人が歩くだけで揺れる床もあるので、測定のタイミングを工夫したり、防振の設備を使ったりして、揺れを減らすのが基本です。あと意外とあるのが、近くのコンプレッサー、搬送設備、フォークリフト。測定室の外の要因も拾うので、「最近ブレるな」と思ったら、周辺設備の稼働パターンも疑ってみてください。

注意

この記事で触れた温度や時間などの数値は、あくまで一般的な目安です。設備・ワーク材質・形状・要求精度で最適条件は変わります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

三次元測定機の基準の取り方まとめ

三次元測定機の基準の取り方は、突き詰めるとワーク座標系を図面基準に合わせて作る作業です。基準面で姿勢を決め、基準線で回転を止め、原点設定で位置を決める。この順番が腹落ちすると、機種が変わっても対応できます。

迷ったら、この順で戻ると早い

測定結果が不安定なとき、いきなり「機械が悪い」と決めつけるのはもったいないです。現場で効くのは、原因を“上流から”切り分けるやり方。まず座標系(基準取り)、次にプローブ校正、次に固定、最後に温度・振動。上流が崩れていると下流でいくら頑張っても収まりません。

測定が安定しないときは、まず基準の取り方(座標系)を疑う。次に、プローブ校正と固定、最後に温度管理と振動対策。この順で潰すと、遠回りしにくいです。

現場で使える「超ざっくり手順」

  1. ワークを清掃して、再現性のある固定を作る
  2. 基準面を複数点で取り、姿勢を決める
  3. 基準線を長い要素で作り、回転を止める
  4. 原点設定を図面基準に合わせて置く
  5. 既知寸法で向きとゼロを検算してから測定に入る

最後にひとこと(大事)

最後にもう一度。測定は“機械がやるから正しい”ではなく、段取りと基準で精度が決まります。困ったら、基準面・基準線・原点設定の3点セットに戻って見直してみてください。

そして、要求精度が厳しい案件や、測定結果が品質や取引に直結する場面では、メーカーの運用ガイドや規格、校正機関の知見が強い味方になります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

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