設備総合効率の計算式を現場で使うOEE入門

設備総合効率の計算式を現場で使うOEE入門 機械加工

設備総合効率の計算式、いざ現場で回そうとすると「これ、何をどこまで入れるの?」って迷いがちですよね。OEEを出したいのに、時間稼働率(可動率)・性能稼働率・良品率の定義があいまいだったり、停止時間の扱いがバラバラだったり、基準サイクルタイムが決め切れなかったり。

しかも、チョコ停や速度低下、7大ロス、稼働率との違い、TEEPやローディング率まで出てきて、もう混線しやすい。

キリコン
キリコン

ここでは工作機械の現場目線で、設備総合効率の計算式を「迷わず運用できる形」に落とし込みます。あなたの工場に合わせて、ブレない定義を作っていきましょう。

  • 設備総合効率(OEE)の計算式と3要素の定義
  • 時間稼働率・性能稼働率・良品率の算出手順
  • 7大ロスとチョコ停を改善につなげる見方
  • TEEPとローディング率で能力を読み違えない考え方
設備総合効率(OEE)の計算式と3要素の定義

時間稼働率・性能稼働率・良品率の算出手順
  1. 設備総合効率の計算式を理解する
    1. OEEとは何かを整理
      1. OEEを回す前に決めておきたいこと
    2. 設備総合効率の計算式と3要素
      1. “3要素を掛ける”が強い理由
      2. 一次情報として押さえておくと安心な参照
    3. 時間稼働率と停止時間の求め方
      1. 負荷時間は“計画として回す時間”
      2. 停止時間は“回したいのに止まった時間”
      3. 停止理由の粒度は“現場が運用できるレベル”
    4. 性能稼働率と基準サイクルタイム
      1. 基準サイクルタイムは“現実に回せる理想”
      2. 基準サイクルタイムを決める実務の流れ
      3. チョコ停と速度低下は性能に刺さる
    5. 良品率と不良率の扱い
      1. 不良の定義は“現場でズレやすい”
      2. 品質ロスは「発生」と「発見」を分けて見る
      3. 良品率を上げるときは工具と条件が効く
  2. 設備総合効率の計算式で改善する
    1. 可動率と稼働率の違い
      1. 「分母」を聞けばだいたい解ける
      2. 言葉が揃うと、現場のストレスが減る
    2. 7大ロスで原因を切り分け
      1. ロスは「入口」と「出口」を分けると刺さる
      2. 改善会議で使える運用ルール
    3. チョコ停と速度低下ロス対策
      1. チョコ停は“復旧の型”で減らす
      2. 速度低下は“安全側の固定”を疑う
      3. 性能ロスは「見える化」すると一気に動く
    4. TEEPとローディング率の考え方
      1. TEEPは“カレンダー時間ベース”で見る
      2. ざっくり計算で感覚を掴む
    5. 設備総合効率の計算式のまとめ
      1. 最短で現場に定着させる手順
      2. 数字が伸びないときの“ありがち”チェック

設備総合効率の計算式を理解する

まずは「計算できる状態」に整えるパートです。OEEは式自体よりも、負荷時間・停止時間・基準サイクルタイム・良品の定義を揃えるのが肝。ここを揃えるだけで、数字が現場改善に効くようになります。

OEEとは何かを整理

OEEとは何かを整理

OEE(設備総合効率)は、設備をどれだけ“価値ある生産”に使えたかを、時間速度品質の3方向からまとめて見える化する指標です。工作機械で言うなら、「止まらず回ったか」「本来のタクトで削れたか」「良品として出せたか」を同じ画面で俯瞰できる感じですね。ここ、気になりますよね。現場って、止まる理由も遅くなる理由も不良の理由も、だいたい同時多発するので。

ただ、OEEの良さは“数字を出すこと”じゃなくて、ロスの居場所を特定して、改善の打ち手を決めやすくするところにあります。例えば「今日はOEEが72%でした」で終わると、ふーんで終わります。でも「時間稼働率が落ちたのは段取りと工具交換が増えた」「性能稼働率が落ちたのはチョコ停が積み上がった」「良品率が落ちたのは立ち上げ不良が増えた」まで分解できると、明日から手を付ける場所が見えます。

工作機械の現場でありがちな誤解として、「OEEが低い=オペが悪い」みたいな空気になることがあります。これ、やるとOEEが死にます。数字が“責める棒”になると、現場は記録を守りにいきます。停止理由が雑になったり、都合のいい分類に寄せたり。だから私は、OEEはあくまで設備と工程の状態を客観的に見るための道具として運用するのが一番だと思っています。

OEEを回す前に決めておきたいこと

OEEは掛け算なので、定義が揃ってないと数字が意味を持ちません。最初に決めたいのは、ざっくりこの4つです。

  • 負荷時間:計画として回す時間を何とするか(休憩や計画保全を含める/除く)
  • 停止時間:何を停止に入れるか(段取り、工具交換、材料待ち、測定待ち、チョコ停など)
  • 基準サイクルタイム:理想値をどの現実ラインに置くか(カタログ値ではなく安定条件)
  • 良品の定義:手直し・再加工・再検査をどう扱うか(良品率に混ぜない運用も多い)

ここが決まると、数字が“会議用”じゃなく“改善用”になります。逆にここが曖昧だと、OEEは毎回ブレて、改善の効果も見えません。まずは小さく始めて、定義だけはブレないように固定する。これが一番ラクです。

現場でよくあるつまずきは「稼働率と何が違うの?」と「停止時間に何を入れるの?」の2つ。後半の見出しで、言葉の整理も含めて噛み砕きます。

設備総合効率の計算式と3要素

設備総合効率の計算式と3要素

設備総合効率(OEE)の基本形はシンプルで、次の掛け算です。

指標意味基本式(例)現場で効く見方
OEE(設備総合効率)設備の総合的な有効度時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率改善の優先順位を決める地図
時間稼働率(可動率)止まらず動いた割合(負荷時間-停止時間)÷負荷時間まず止めない(故障・段取り・交換)
性能稼働率理想速度に対する達成度(基準サイクルタイム×生産数)÷稼働時間チョコ停・速度低下を潰す
良品率良品として出せた割合良品数÷生産数立ち上げ不良・工具摩耗・測定を整える

掛け算なので、どれか1つが崩れるとOEEは一気に落ちます。逆に言えば、どこが落ちているかが分かれば、打ち手も絞れるということ。例えば「停止は減ったのにOEEが上がらない」なら性能か品質が落ちている可能性が高いし、「速度を上げたのにOEEが伸びない」なら不良が増えて良品率が食っている、みたいな読み方ができます。

“3要素を掛ける”が強い理由

現場って、止めずに回そうとすると速度が落ちたり、不良が増えたり、逆もまたありますよね。OEEはそのトレードオフを一つのスコアにまとめるので、改善の方向がズレにくいです。例えば「速度を上げて生産数は増えたけど不良が増えた」場合、単純な生産数だけ見てると成功に見えます。でもOEEは良品率が落ちた分がちゃんと反映されます。ここがOEEの強みです。

一次情報として押さえておくと安心な参照

OEEの式や要素の定義は、業界標準・規格・標準化団体の資料に載っています。工作機械の文脈で「OEEはどう定義されるか」を一次情報として確認したいなら、機械・設備のデータ連携で使われる仕様にまとまっている例があります。

(出典:OPC Foundation「Machine Tools – C.2.4 Calculation of the OEE」)

このあたりを踏まえつつ、次の見出しからは「現場で迷いやすい定義」を具体的に固めていきます。式は同じでも、定義が揃ってないと比較も改善もできないので、ここが勝負どころです。

時間稼働率と停止時間の求め方

時間稼働率と停止時間の求め方

時間稼働率(可動率)は、負荷時間のうち実際に設備が動いた割合です。ここで一番揉めるのが「負荷時間」と「停止時間」に何を入れるか。私は、まず工場内で定義を1枚に固定するのをおすすめしています。これだけで、OEE運用の8割は勝ちです。

負荷時間は“計画として回す時間”

負荷時間は「回すつもりだった時間」です。例えば8時間シフトでも、朝礼・清掃・休憩・点検・計画保全をどう扱うかで負荷時間は変わります。どれが正しいかより、同じルールで切り続けるほうが重要です。比較できるから改善できる、って話ですね。

私のおすすめは、最初はシンプルに「シフト内の計画稼働(加工)時間=負荷時間」にして、休憩や計画保全は最初から負荷時間に入れない運用です。理由は、現場が納得しやすくて揉めにくいから。あと、OEEの数字が“計画外の事情”で大きく揺れないのもメリットです。

停止時間は“回したいのに止まった時間”

停止時間には、故障停止、段取り・調整、工具交換、材料待ち、測定待ち、チョコ停、段取りミス復旧などが入りやすいです。工作機械だと段取りの占める割合が大きくなりがちなので、ここを曖昧にすると数字がブレます。たとえば「段取りは停止に入れない(計画だから)」という運用もありますが、その場合は時間稼働率が高く見えやすく、改善の矛先が性能や品質に偏ることがあります。

停止理由の粒度は“現場が運用できるレベル”

停止理由を細かくしすぎると記録が破綻します。逆に粗すぎると原因が見えません。私がよく使うのは、最初は10分類くらいで回して、効いてきたら細分化する方法です。

分類例具体例(工作機械)改善の打ち手
故障主軸アラーム、潤滑異常、センサー故障予防保全、部品交換周期、点検表
段取り・調整治具交換、芯出し、原点復帰、条件出し段取り標準化、治具共通化、5S
工具交換刃具交換、プリセッタ待ち、測定寿命管理、交換タイミング、標準工具
材料・供給材料待ち、段取り材不足、供給トラブル段取り前準備、カンバン、置き場整備
チョコ停切粉絡み、扉開閉、排出詰まり切粉対策、復旧手順、設備調整
検査・測定測定待ち、測定やり直し、判定待ち測定工程の平準化、基準統一

段取り時間の考え方は、見積やコスト側の整理ともつながります。段取りが固定費として効く感覚を掴むなら、旋盤加工料金の相場とコストの考え方の「段取りと加工時間」の話も参考になると思います。

時間稼働率の基本式

時間稼働率 = (負荷時間-停止時間) ÷ 負荷時間

稼働時間 = 負荷時間-停止時間

ここまで揃うと、次は「動いている間に、理想速度で削れていたか」を見る性能稼働率に進めます。時間稼働率が良いのにOEEが伸びないケースって、だいたい性能稼働率が落ちてます。ここも現場あるあるです。

性能稼働率と基準サイクルタイム

性能稼働率と基準サイクルタイム

性能稼働率は、稼働時間の中でどれだけ“本来のペース”で加工できたかです。工作機械だと、基準サイクルタイム(標準タクト)の置き方で結果が大きく変わります。ここ、めちゃくちゃ重要ですよ。基準がズレると、改善の方向もズレます。

基準サイクルタイムは“現実に回せる理想”

カタログ値や最短加工時間をそのまま基準にすると、現場はだいたい負けます。工具寿命や切粉詰まり、測定タイミング、ワークのバラつき、クランプの安定、機械剛性まで含めた「安定して回せる理想」を基準にするのが現実的です。基準が現実から浮くと、性能稼働率がずっと低く見えて改善の方向がズレます。

基準サイクルタイムを決める実務の流れ

私がよくやる決め方は、まず“安定条件”で一定期間回して、実績の中央値に近いところを基準に置くやり方です。平均は外れ値(トラブル日)に引っ張られるので、中央値が使いやすいです。次に、改善で詰めたら基準も見直す。基準は一度決めたら終わりじゃなく、改善に合わせて更新していくものです。

基準サイクルタイムを決めるときの小ワザです。

  • 段取り直後の立ち上げ時間は別枠にして、安定区間でタクトを見る
  • 工具寿命末期の条件低下は“別状態”として扱い、基準を食わせない
  • ワーク材質やロット差が大きい場合は、品番別に基準を持つ

チョコ停と速度低下は性能に刺さる

性能稼働率が落ちる典型は、チョコ停(短時間停止の積み上げ)と速度低下(送り・回転を落として回している状態)です。例えば、切粉の絡みで停止→復旧を繰り返す、工具摩耗で条件を落としている、アラーム回避で安全側に寄せすぎている、段取りミスで空運転が増える、こういうのが積み上がります。

ここでのコツは、チョコ停と速度低下を“停止時間”に混ぜてしまわないこと。混ぜると、時間稼働率に吸い込まれて、性能の問題が見えなくなります。性能稼働率があるのは、この“動いてるのに遅い・弱い”を拾うためです。

基準サイクルタイムを整えるときは、工程集約や段取り削減の効果も一緒に見えるようになります。設備選定の視点なら、複合加工機のメリット・デメリットの「段取り削減と安定稼働」の話もつながります。

性能稼働率の式は「基準サイクルタイム×生産数」を、稼働時間で割るイメージです。基準と実績の差分が、そのまま改善余地になります。だからこそ、基準の置き方は“現場が納得できる現実ライン”に置く。ここを外すと、ずっと改善してるのに数字が上がらない、みたいな消耗戦になりがちです。

良品率と不良率の扱い

良品率と不良率の扱い

良品率は「作ったもののうち、良品として出せた割合」です。不良率(不良品割合)とセットで見ると、品質ロスの場所が見えやすくなります。工作機械の現場だと、良品率は“品質”だけじゃなくて“工程の安定度”も映すので、かなり重要です。ここ、意外と軽く見られがちなんですよね。

不良の定義は“現場でズレやすい”

現場だと、スクラップ(廃棄)だけでなく、手直し(再加工)や測定での再判定もありますよね。良品率に何を含めるかは工場のルール次第ですが、私は手直しは品質ロスとして別管理する運用が好きです。なぜなら、手直しは「良品に見えるけど時間を食う」から。OEEの良品率に混ぜると“良品としてカウント”されやすくて、品質ロスが見えにくくなることがあります。

品質ロスは「発生」と「発見」を分けて見る

不良って、発生した瞬間に見つかるとは限りません。加工中にすでにズレているのに、検査工程で初めて露見することもあります。だから、良品率を見るときは「不良がどこで発生したか」と「どこで見つかったか」を分けてメモしておくと、改善が早いです。例えば、加工条件が原因なら“発生”は加工工程、見つかったのは検査工程。ここをごっちゃにすると、検査ばかり強化して根本が直らない…になりがちです。

区分良品率への反映現場でのメモ
スクラップ寸法NGで廃棄、折損で破損不良としてカウント発生工程・原因を必ず残す
手直し(再加工)追加切削で救済、バリ取りや修正運用次第(私は別管理推し)手直し時間を別で取ると改善が効く
再検査・再判定測定条件見直し、判定待ち基本は良品/不良の最終判定で測定の標準化がボトルネックになりやすい

良品率を上げるときは工具と条件が効く

良品率の改善は、加工条件の安定化と工具の管理が直球で効きます。工具摩耗が原因で寸法がズレる、切粉噛みで面粗さが荒れる、ビビりで形状が崩れる。こういう品質の揺れは、最終的に設備を止める要因にもなります。つまり、良品率の低下は“品質の問題”でありつつ、時間稼働率や性能稼働率にも二次被害が出やすいんです。

工具の当て方や寿命の作り方は、現場の改善ネタとして強いです。工具の考え方を深掘りしたいなら、エンドミル特注で加工を変えるコツも合わせて読むと、品質と生産性を両立させる感覚が掴みやすいかなと思います。

注意:良品・不良の判定基準は、図面指示、測定方法、検査環境で変わります。数値や運用はあくまで一般的な目安として捉えて、正確な情報は図面・仕様書・メーカーの公式情報をご確認ください。最終的な判断は品質・設計・計測などの専門家にご相談ください。

設備総合効率の計算式で改善する

ここからは「計算して終わり」じゃなく、改善に落とすパートです。OEEは、原因が見えれば打ち手が絞れるのが強み。7大ロスやチョコ停の見方、TEEPでの能力の読み方まで、現場で使える形にします。

可動率と稼働率の違い

現場で混乱しやすいのが、可動率(時間稼働率)と稼働率の言葉です。会社や部署で意味がズレていることが多いので、私はまず「言葉の辞書」を作ります。ここを放置すると、会議で数字が合わない原因が“定義の違い”なのに、現場が責められる…みたいな不幸が起きます。あるあるです。

「分母」を聞けばだいたい解ける

稼働率って言葉が出たら、私はまず「分母は何?」って聞きます。分母が負荷時間なのか、シフト時間なのか、カレンダー時間なのか。ここが揃ってないと比較できません。

用語分母の典型分子の典型よくある用途
可動率(時間稼働率)負荷時間(計画稼働)稼働時間停止ロスを減らす改善
稼働率(現場用語)シフト時間/負荷時間など混在稼働時間ざっくり稼働の把握
ローディング率カレンダー時間稼働予定時間設備の使い切り・能力計画

一般的には、可動率(時間稼働率)は負荷時間に対する稼働時間を指し、稼働率はもっと広く「設備が動いている割合」を指して使われることがあります。中には、稼働率=可動率として運用している工場もありますし、稼働率を「カレンダー時間に対する稼働」みたいに使う場合もあります。

結論

自社の稼働率が“何を分母にしているか”を明文化してから、OEEと並べて見てください。分母が違う数字を並べると、改善の優先順位を誤りやすいです。

言葉が揃うと、現場のストレスが減る

ここは地味なんですが、言葉が揃うと現場のストレスが一気に減ります。「稼働率上げろ」って言われても、分母が人によって違ったら無理ゲーです。可動率(時間稼働率)は停止を減らす、性能稼働率はチョコ停と速度低下を減らす、良品率は不良と手直しを減らす。役割分担がはっきりすると、改善活動がスムーズに回りますよ。

7大ロスで原因を切り分け

7大ロスで原因を切り分け

OEEを改善に落とすとき、定番で効くのが7大ロスです。設備を止める/遅くする/不良を出す、の原因を分類できるので、会議が「感想戦」になりにくいんですよね。特に工作機械は、段取り・工具・切粉・測定が絡むので、ロスが複合化しやすい。だから分類が効きます。

分類7大ロス現場のサインOEEのどこに効くか
停止ロス故障アラーム停止、復旧に時間時間稼働率(可動率)
停止ロス段取り・調整切替で毎回時間がブレる時間稼働率(可動率)
停止ロス工具交換交換頻度増、段取りが伸びる時間稼働率(可動率)
性能ロス立ち上げ始業直後に不良・調整多い性能稼働率/良品率
性能ロスチョコ停・空転短停止が多く、体感より遅い性能稼働率
性能ロス速度低下条件がいつの間にか弱い性能稼働率
不良ロス不良・手直し検査戻り、再加工が増える良品率

ロスは「入口」と「出口」を分けると刺さる

私は、7大ロスを回すときに「どれか1個に決め打ちしない」のを徹底します。たとえば不良が増えたとき、実は段取りの再現性が落ちていて、結果的に測定と手直しが増えている…みたいな連鎖があるからです。ロスの“入口”と“出口”を分けて見ると、対策が刺さりやすいです。

改善会議で使える運用ルール

7大ロスを“形”にするなら、このルールが回しやすいです。

  • 週次はロスのトップ3だけを扱う(全部は追わない)
  • トップ3は「件数」と「時間(または損失量)」の両方で見る
  • 対策は“仮説→実施→再計測”を最短で回す(完璧を待たない)
  • 分類は途中で変えない(変えるなら期の切り替えなどで統一)

この運用にすると、現場の「やった感」じゃなく、OEEの数字で改善の効きが見えます。OEEは、改善の効果測定まで含めて価値が出る指標です。

チョコ停と速度低下ロス対策

チョコ停と速度低下ロス対策

工作機械のOEEを落とす犯人として、チョコ停と速度低下はかなり多いです。しかも、どちらも「1回あたりは小さい」ので、見逃されがち。ここを潰すと、性能稼働率が気持ちよく上がります。あなたの現場でも「体感では回ってるのに数字が伸びない」ってこと、ありません? それ、チョコ停か速度低下が溜まってるかもです。

チョコ停は“復旧の型”で減らす

チョコ停の原因は、切粉詰まり、センサー誤検知、ワーク供給の引っかかり、クーラントのトラブル、工具折損の前兆、扉開閉の段取り動作、測定待ちなど色々あります。全部をゼロにするのは無理なので、私は復旧手順を標準化します。復旧が早くなるだけで、ロスが削れます。さらに、復旧手順が揃うと「どこで詰まったか」「何が効いたか」のログが取りやすくなって、根本対策に繋がります。

チョコ停対策の優先順位(現場で効きやすい順)

  • 復旧手順の標準化(誰でも同じ動きで復旧できる)
  • 停止検知の精度(誤検知・過検知を減らす)
  • 切粉の排出ルート(詰まりやすい形状を潰す)
  • ワーク供給・搬送(引っかかり、位置決めの安定化)
  • 工具寿命の兆候管理(折損前に兆候で止める)

速度低下は“安全側の固定”を疑う

速度低下は、工具寿命を伸ばすために条件を落とす、ビビり回避で送りを落とす、面粗さで回転を落とす、アラーム回避で手堅く回す…など、理由がある場合も多いです。ただ、いつの間にか「安全側の条件」が固定化していることもあります。ここを掘ると、改善余地が大きいことが多いです。

私がよくやるチェックはこの3つです。

  • 条件を落とした理由が記録されているか(いつ・誰が・なぜ)
  • 工具交換基準が曖昧で“早替え・遅替え”が混在していないか
  • 切粉処理・クーラント・治具剛性の弱点が放置されていないか

性能ロスは「見える化」すると一気に動く

チョコ停や速度低下は、現場が体感していても、数字に出ないと優先順位が上がりません。だから、私は「停止時間」だけじゃなく「停止回数」や「短停止の累積時間」を必ず出します。短停止の累積が30分/日とか出ると、みんな真顔になります。そこから改善が動きやすいです。

注意:加工条件の変更は、工具破損や干渉、品質不良などのリスクも伴います。数値はあくまで一般的な目安として捉えて、正確な情報は機械メーカー・工具メーカーの公式情報をご確認ください。最終的な判断は安全・品質・生産技術などの専門家にご相談ください。

TEEPとローディング率の考え方

TEEPとローディング率の考え方

OEEは「計画として回す時間(負荷時間)」を分母にするのが基本です。一方で、設備の使い切りや能力計画まで見たいなら、TEEP(設備機器総合有効生産力)が役に立ちます。ここ、設備増設や人員配置の議論で効きます。OEEだけで判断すると「足りない」と見えたり「余ってる」と見えたり、読み違えが起きやすいんですよね。

TEEPは“カレンダー時間ベース”で見る

ざっくり言うと、TEEPは24時間365日の中で設備をどれだけ有効に使えたかを見る指標です。昼勤のみの工場だと、ローディング率(稼働予定時間÷カレンダー時間)が低くなり、OEEが良くてもTEEPは低く出ます。これは悪いというより、稼働計画の前提が違うだけです。

よく使う関係式

TEEP = OEE × ローディング率

ローディング率 = 稼働予定時間 ÷ カレンダー時間

ざっくり計算で感覚を掴む

例えば、1日8時間稼働(週5)で回す設備は、カレンダー時間に対して稼働予定時間がかなり小さくなります。ここでOEEが75%だとしても、TEEPは「稼働予定の薄さ」分だけ低く見える。だから、設備能力の話をするときは「OEEを上げる」なのか「ローディングを増やす(2直化・夜間運転など)」なのか、論点を分けると議論が速いです。

私は設備投資の議論で、次の順に確認します。

  • 本当にボトルネック工程か(前後工程の詰まりはないか)
  • OEEのどこが落ちているか(停止・性能・品質)
  • ローディング率を上げる余地はあるか(人員・段取り・無人化)
  • それでも足りないなら増設や外注を検討

設備増設の議論で「OEEが高いから、もう詰んでる」と言い切る前に、TEEPで“稼働の余白”を確認してみるのはアリです。例えば、2直化や段取りの平準化で吸収できるケースもあります。もちろん人員や安全の条件が絡むので、ここも断定は禁物。最終判断は現場・保全・安全・管理職で詰めるのが安心です。

設備総合効率の計算式のまとめ

設備総合効率の計算式のまとめ

最後に、今日の話を現場用にまとめます。設備総合効率の計算式は時間稼働率×性能稼働率×良品率。ただし、式より大事なのは「分母・分子の定義を揃えること」です。負荷時間、停止時間、基準サイクルタイム、良品の定義が揃えば、OEEは改善の地図になります。ここが揃ってないと、数字が“気分”になります。あなたが感じてるモヤモヤの正体、だいたいここです。

最短で現場に定着させる手順

  1. 定義を1枚に固定(負荷時間・停止時間・基準タクト・良品の扱い)
  2. まずは1台・1品番で回す(いきなり全ラインはやらない)
  3. 週次でOEEを分解してトップ要因を1つ潰す
  4. 効いてきたら対象設備と品番を増やす

数字が伸びないときの“ありがち”チェック

  • 停止理由の分類が雑で、改善が特定できていない
  • 基準サイクルタイムが現実から浮いて、性能稼働率が死んでいる
  • 手直しが良品に混ざって、品質ロスが見えなくなっている
  • 分母が揃っていない数字を並べて、議論が噛み合っていない

運用のコツは、まず“定義を固定して、毎日同じルールで計算”です。そこから7大ロスで原因を切り分け、チョコ停と速度低下を潰し、必要ならTEEPで能力計画まで見る。これで、数字がちゃんと現場に効いてきます。

注意:OEEの目標値(例:85%など)は、業種・製品・生産形態で大きく変わります。数値はあくまで一般的な目安として捉えてください。正確な情報は社内規程・図面・仕様書・メーカーの公式情報をご確認ください。最終的な判断は、生産技術・品質・保全などの専門家にご相談ください。

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