切削加工のビビリ対策:原因から改善まで

切削加工のビビリ対策:原因から改善まで 金属加工

切粉ラボ運営のMakaです。切削加工をしていて、急にキーキー鳴いたり、面がガタガタになったりすると焦りますよね。あなたが今まさに探しているのは、切削加工のビビリ対策を「現場で再現できる形」で整理した答えだと思います。

ビビリはチャタリングとも呼ばれて、ビビリ原因がひとつじゃないのが厄介です。再生ビビリみたいな自励ビビリ、外部要因の強制ビビリ、どっちの匂いが強いかで手当てが変わりますし、切削振動が出ると、びびりマークや表面粗さの悪化、工具欠けまで一気に起きがちです。

キリコン
キリコン

【切粉ラボ】マスコットキャラクターのキリコンです!!
この記事では、回転数・送り量・切込み量の調整だけで終わらせず、突き出し長さと剛性不足、ワーク保持、そして防振ホルダーやダンパーといった「効く順番」を整理しますよ。

ビビリマップや安定性ローブ図の考え方も、難しい数式なしで現場に落とし込んでみますのでよかったら覗いてやってください。

先に言っておくと、ここで書く条件や手順は、あくまで一般的な目安です。材質、工具、機械、保持、クーラントの状況で最適解は変わります。だからこそ、あなたの現場で「どこから潰すと一番ラクか」を見つけやすいように、判断ポイントを厚めに書きます。

  • ビビリが起きる仕組みとビビリ原因の切り分け方
  • 回転数・送り量・切込み量の調整で外すコツ
  • 突き出し長さ・剛性不足・保持の改善ポイント
  • 防振ホルダー・ダンパー・ビビリマップの使いどころ
  1. 切削加工のビビリ対策を理解する基礎
    1. ビビリ原因とチャタリング
      1. ビビリは“症状”で、原因は複合
      2. よくある“引き金”を先に潰す
    2. 強制ビビリと自励ビビリ
      1. 強制ビビリ:機械・周辺の“外乱”が主役
      2. 自励ビビリ:切削中の“ループ”が主役
      3. 切り分けのコツは「反応の速さ」
    3. 再生ビビリと切削振動
      1. 再生ビビリが起きやすい条件
      2. 音と切粉で“育ち方”を読む
    4. びびりマークと表面粗さ
      1. “面の波”は情報の塊
      2. 表面粗さは“数値”より“変化量”が大事
    5. 突き出し長さと剛性不足
      1. 剛性不足は“工具側”と“ワーク側”で起きる
      2. “たわみ”は悪さしかしない
  2. 切削加工のビビリ対策を現場で効かせる手順
    1. 切削条件の回転数調整
      1. 回転数だけで止まらないときの“次の手”
      2. 主軸速度を“少し揺らす”という発想もある
    2. 送り量と切込み量最適化
      1. 僕がよくやる“二段階”の詰め方
      2. “送りの方向”と“力の向き”を意識すると強い
    3. 防振ホルダーとダンパー
      1. 防振の“効き方”を誤解しない
      2. 選定のポイントは“使い方”の一致
    4. 旋盤加工とボーリング対策
      1. 内径は“切粉と熱”がビビリを増幅しやすい
      2. 長尺ワークの外径は“支持”が最短ルート
    5. ビビリマップと安定性ローブ図
      1. “図”を描かなくても、考え方は使える
      2. 安定性ローブ図の“ありがたさ”は試行回数が減ること
    6. 切削加工のビビリ対策まとめ
      1. 最後に:安全と品質のための一言

切削加工のビビリ対策を理解する基礎

切削加工のビビリ対策を理解する基礎

まずは「何が揺れているのか」を見える化します。ビビリは音と面で分かりますが、原因を切り分けられると対策の当たりが早いです。ここは初心者でも現場オペレーターでも同じで、順番が命かなと思います。

ビビリ原因とチャタリング

ビビリ原因とチャタリング

ビビリ(チャタリング)は、加工中に工具やワークが振動して、切削抵抗が周期的に暴れる現象です。面が波打つ、音が甲高い、工具が欠ける。だいたいこの3点セットで来ます。ここ、気になりますよね。なぜなら「昨日まで普通だったのに、今日いきなり出た」みたいなことが平気で起きるからです。

ビビリは“症状”で、原因は複合

ポイントは、ビビリが「結果」であって、根っこは剛性・減衰・切削抵抗の変動の組み合わせだということ。剛性が足りないとたわむ。減衰が小さいと揺れが収まらない。切削抵抗が揺れると振動が育つ。これが重なると、加工が一気に不安定になります。だから、回転数だけ触っても止まらないときは、揺れている側(工具・ワーク・保持具・主軸)を疑うのが近道です。

最初の見立ては「どこが弱いか」です。工具が長い/細い、ワークが薄い/長い、クランプが弱い、機械が軽い。このどれかが当たっていると、条件をいじっても戻りがちです。

よくある“引き金”を先に潰す

ビビリは「急に出る」ことも多いです。工具摩耗や刃先欠け、切粉詰まり、クーラント当たり不良、チップ締結のゆるみ、ホルダーの噛み込みみたいな小さな変化が引き金になります。現象が出たら同じ条件を続けないのが安全です。まず止めて、工具先端を見て、切粉の出方を見て、保持を触って、そこから条件の再開、これが結果的に一番早いことが多いですよ。

現場での即チェック

  • チップの欠け、摩耗、締結トルク(締め忘れが意外とあります)
  • 切粉が“粉”になっていないか、長く絡んでいないか
  • クーラントが刃先に当たっているか(当たってるつもりで外してることが多いです)
  • ワーク・治具・ツールポストにガタや緩みがないか

ここまでの話は「理屈っぽいな」と感じるかもですが、要はシンプルで、ビビリは“どこかが弱い”と起きやすい。だから、弱点を一個ずつ潰していくと、自然と止まる確率が上がります。

強制ビビリと自励ビビリ

強制ビビリと自励ビビリ

ビビリには大きく分けて2系統あります。ざっくり言うと、外から揺すられているのが強制ビビリ、切っている最中に自分で振動を育てるのが自励ビビリです。対策がズレると延々ハマるので、ここは最初に分けておくとラクですよ。

強制ビビリ:機械・周辺の“外乱”が主役

強制ビビリの匂い:主軸やモーターの振れ、ベルト・カップリング、ガタ、据付の不安定、治具の共振など

例えば「主軸回転のどの回転数でもなんとなく揺れてる」「加工してなくても振動っぽい音がする」「特定の治具だけで出る」みたいなときは、強制ビビリ側を疑う価値が高いです。

自励ビビリ:切削中の“ループ”が主役

自励ビビリの匂い:特定の回転数域で出る/切込みを増やすと急に悪化/面の波形が一定っぽい、など

自励ビビリは、回転数を少し変えただけでスッと収まったり、逆に一気に暴れたりします。だからこそ、回転数調整が効く場面が多いんですね。

切り分けのコツは「反応の速さ」

現場で便利なのは「回転数を少し動かしたときの反応」です。回転数を数%変えて明確に止まる・弱まるなら、自励寄りの可能性が高いです。逆に、どこを動かしてもずっと同じ感じなら、機械側や保持側(強制寄り)も疑った方がいいですね。

迷ったら“保持と突き出し”を先に疑うのが安全です。強制でも自励でも、剛性が上がれば症状が軽くなることが多いので、手戻りが少ないです。

なお、機械の異音や過大な振動が疑われる場合は、無理に加工を続けず、メーカー推奨の点検手順や保全担当の判断を優先してください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

再生ビビリと切削振動

再生ビビリと切削振動

自励ビビリの代表が再生ビビリです。ざっくり言うと、前の刃が残したうねりを次の刃が拾って、切削厚みが揺れて、切削抵抗が揺れて、振動が育つ…というループです。言い換えると、加工面の“記憶”が次の切削に影響して、どんどん揺れが増える感じですね。

再生ビビリが起きやすい条件

再生ビビリは、工具が良く切れているほど起きない、という単純な話でもありません。切れ味が良くても、突き出しが長くて剛性不足なら普通に出ますし、薄肉ワークでワークがしなるならそれだけで増幅します。さらに、切粉が噛んで抵抗が揺れれば余計に育ちます。つまり「切削振動のタネ」はいくつもあるんです。

切削振動を放置すると、面荒れだけじゃなく工具欠け・折損が出やすくなります。特に内径や細径工具は一撃が大きいので、音が出たら無理に最後まで回さず、いったん止めて原因を潰すのがおすすめです。

音と切粉で“育ち方”を読む

再生ビビリは、だんだん音が大きくなる、一定のピッチで鳴く、面のうねりが揃う、みたいな特徴が出やすいです。逆に、切粉噛みや欠け由来の振動は、突然ガツンと荒れる、音が不規則、切粉が詰まって排出が乱れる、みたいな傾向があります。ここを見分けられると、対策の順番を間違えにくいですよ。

再生ビビリっぽいときの優先アクション

  • 回転数を小刻みに振って“鳴かない回転域”を探す
  • 切込みを少し落として、振動のエネルギーを下げる
  • 突き出し短縮・バー径アップなど剛性アップを合わせ技で入れる

この後のセクションで、回転数や切込みのいじり方を具体化するので、ここは「再生ビビリ=ループで育つ」という感覚だけ押さえておけばOKです。

びびりマークと表面粗さ

びびりマークと表面粗さ

びびりマークは、加工面に波状の模様が残る典型症状です。表面粗さが悪化するだけじゃなく、寸法や真円度が飛びやすいのが嫌なところ。仕上げで出ると手戻りが大きいですよね。しかも、見た目が悪いだけでなく、摺動部やシール面だと性能にも直結するので、放置できない症状です。

“面の波”は情報の塊

面の見え方でヒントも取れます。例えば、ピッチが一定で波が揃っているなら再生ビビリっぽい、ランダムに荒れているなら切粉噛みや工具欠けの可能性が高い、みたいな見立てです。ここに「音」と「切粉」を足すと、原因の当たりがさらに良くなります。

面の異常は「音・切粉・工具先端」をセットで見ると当たりが早いです。面だけ見て回転数だけ変えると、原因が工具欠けだった場合に悪化します。

表面粗さは“数値”より“変化量”が大事

表面粗さの数値(Raなど)は図面や用途で変わります。ここは断定せず、あくまで一般的な目安として捉えてください。現場で大事なのは「普段と比べてどれだけ悪化したか」です。急に荒れたなら、ビビリだけじゃなく、刃先欠け・切粉詰まり・クーラント不良・保持の緩みなど、何か変化が入っている可能性が高いです。

見え方起きやすい要因まず見る場所
波が等間隔で続く再生ビビリ、自励寄り回転数域、突き出し
部分的に急に荒れる欠け、切粉噛み工具先端、切粉排出
コーナーだけ荒れる負荷変動、保持不足クランプ、切込みの入り方
内径の奥だけ荒れる剛性不足、クーラント不足ボーリングバー、吐出方向

仕上げ面が重要な部品ほど、ビビリはコスト直撃になります。だからこそ「面に出る前に音で止める」意識が大事です。鳴き始めたら、まず一段安全側へ。これ、地味だけど効きます。

突き出し長さと剛性不足

突き出し長さと剛性不足

ビビリ対策で一番効きやすいのが、突き出し長さの短縮です。工具は長く出すほど弱くなります。これはもう法則みたいなもので、条件をいじる前にここを疑うと早いです。特に内径・溝入れ・深い肩部など、突き出しが長くなりがちな加工は“ビビリの温床”になりやすいんですよ。

まずやること

  • ホルダーに工具を深く入れて突き出しを最短にする
  • 同じ突出しなら工具径を太くできないか検討する
  • シャンク材質(鋼→超硬)や防振タイプを検討する

剛性不足は“工具側”と“ワーク側”で起きる

剛性不足って聞くと工具側を想像しがちですが、ワーク側も同じくらい重要です。薄肉や長尺は、それだけで振動を呼び込みます。クランプ点を増やす、当て板や治具で支える、芯押しや振れ止めを使う。こういう「支える系」は地味ですが、回転数を探るより効く場面が多いです。

“たわみ”は悪さしかしない

たわむと何が起きるかというと、刃先の当たり方が変わり、切削抵抗が揺れ、再生ビビリが育ちます。さらに、たわみ戻りで寸法が飛び、面も荒れます。つまり、剛性不足はビビリだけじゃなく、精度・寿命・生産性まで全部に刺さるんですよ。なので、ここを直すと副作用なく全体が安定することが多いです。

ただし、無理にクランプを強くしすぎるとワークが変形したり、薄肉部が割れたりすることもあります。締付は部品形状や材質に合わせて慎重に。最終的な判断は現場の経験者や専門家にご相談ください。

より実務寄りの工具選びは、切粉ラボ内の下記記事でも整理しています。特に内径(ボーリング)はビビリが出やすいので、突き出しとバー径の考え方は一度押さえておくと強いです。

切削加工のビビリ対策を現場で効かせる手順

切削加工のビビリ対策を現場で効かせる手順

ここからは「止める → 原因を潰す → 再発しにくくする」の順で、具体策をまとめます。数値は一律に決め打ちできないので、考え方と試し方を中心にいきます。

切削条件の回転数調整

回転数はビビリ対策の王道ですが、やり方を間違えると遠回りになります。コツは「大きく振らない」こと。いきなり半分に落とすより、まず数%〜十数%で反応を見ます。回転数は“共振点を外す”のが主目的なので、狙いがハマるとビビリがスッと消えます。逆に、ズレてるといくら回しても消えません。

回転数の探り方(現場でやりやすい順)

  1. 今の回転数から±5%で試す(音と面の変化を見る)
  2. 改善があれば、同じ方向にもう一段(±5〜10%)
  3. 改善がなければ逆方向を試す(共振域を外す狙い)
キリコン
キリコン

回転数を変える際は「周速が落ちすぎて構成刃先が発生する」「周速が上がりすぎて摩耗が加速する」といった、リスクもあるので注意してくださいね。

回転数だけで止まらないときの“次の手”

回転数を変えても止まらないときは、だいたい次のどれかです。工具が長すぎる、ワークが揺れてる、切粉詰まりで抵抗が暴れてる、刃先が欠けてる、クーラントが当たってない。だから、回転数調整と同時に「突き出し短縮」「切粉排出改善」「刃先確認」をセットでやると成功率が上がります。

回転数を動かした結果読み取り次の行動
数%で明確に収まる自励寄り、共振域にいたその回転域を基準に条件を詰める
どこでも同じ強制寄り、保持・機械要因クランプ・ガタ・据付を点検
逆に悪化する別の共振域に入った反対方向へ振る+切込みを一段落とす
たまに止まるが再発切粉詰まりや刃先劣化の影響切粉排出と工具状態を優先確認

主軸速度を“少し揺らす”という発想もある

最近は、主軸回転数を周期的にわずかに変動させて共振を避ける考え方もあります。これは現場で「回転数を固定すると鳴くけど、微妙に変わると鳴きが減る」体感に近いです。対応機や条件の制約はあるので、使えるかどうかは機械とNCの仕様次第ですね。こういう機能の考え方を一次情報で確認したいなら、(出典:ファナック『FA新機能:びびり振動抑制』)の説明が分かりやすいです。

回転数を変えると切削速度も変わるので、焼付きや工具摩耗の進み方も変わります。特に難削材や仕上げでは、温度が上がりすぎないように注意です。クーラントの当たりや切粉の排出が悪いと、回転数調整だけでは止まりにくいです。正確な推奨条件は工具メーカーの公式情報をご確認ください。

送り量と切込み量最適化

送り量と切込み量は、切削抵抗を直接いじるレバーです。基本は「負荷を落として振動を止める」ですが、落としすぎると逆に不安定になることもあります。ここ、気になりますよね。現場の感覚だと「軽く切れば止まるはず」なんですが、軽すぎると刃先が擦って熱が出たり、切削が断続的になって別の振動になったりします。

切込み量を極端に小さくすると、刃先が滑ったり、当たり方が変わって別の振動が出ることがあります。送り量も同様で、低すぎると擦りが増えて面が荒れる場合があります。

僕がよくやる“二段階”の詰め方

僕のおすすめは、まず切込み量を少し落として振動の勢いを止め、次に送り量で「切れている感」を戻していくやり方です。仕上げなら、工具のノーズRや刃先状態も絡むので、送りだけで面を作ろうとしない方がラクです。切込みを落として止まったら、送りを戻して能率を上げる。これで面も戻りやすいです。

調整の優先度は「突き出し・保持」→「回転数」→「切込み」→「送り」の順で考えると迷子になりにくいです。もちろん現場条件で前後します。

“送りの方向”と“力の向き”を意識すると強い

送り方向の力が原因で揺れているケースでは、高送り工具が効く場面もあります。切込み角を変えて力の向きを変える、という発想です。逆に、横方向の力(背分力)が強い条件だと、薄肉は簡単に揺れます。だから、加工戦略として「力が逃げる方向にクランプできているか」も見直すと効きます。

切込み・送りの調整で失敗しにくいコツ

  • 一度に大きく変えず、どちらか片方だけ動かして反応を見る
  • 止まった条件を“基準”にして、能率側へ少しずつ戻す
  • 面が悪化したら、刃先状態(欠け・摩耗)を必ず確認する

高送りに興味があるなら、切粉ラボ内の下記記事に力の向きの話も含めて整理しています。とはいえ、最終的には現場の工具・機械・ワーク形状で当たりが変わるので、メーカー推奨と照らして判断するのが安全です。最終的な判断は専門家にご相談ください。

防振ホルダーとダンパー

条件を触っても収まらない、突出しがどうしても長い、内径が深い。こういう「構造的に不利」なときは、防振ホルダーやダンパーが効きます。振動を減衰させる仕組みが入っているので、同じ条件でも面が落ち着きやすいです。要は、揺れやすい条件でも“揺れが育つ前に”エネルギーを吸ってくれるイメージですね。

防振系を検討する目安

  • 突き出しを短くできない(干渉・深穴など)
  • 工具径が細くて剛性が稼げない
  • 回転数を外しても加工能率が落ちすぎる

防振の“効き方”を誤解しない

ただし万能ではありません。防振は「揺れを消す」より「揺れを増やさない」方向の道具なので、クランプが弱い、切粉が詰まって抵抗が周期的に増減する、工具が欠けている、こういう根本が残っていると効果が出にくいです。だから、防振を入れるなら、最低限「刃先」「切粉」「保持」を整えてからの方が投資が報われやすいです。

選定のポイントは“使い方”の一致

防振ホルダー・ダンパーは製品ごとに得意領域があります。内径のボーリング用、外径の長突出し用、回転工具用など。ここを外すと「高いのに効かない」になります。あなたの現場で一番困っているのが、内径なのか、端面なのか、長尺外径なのか、まず症状を絞るのが大事です。

導入前に確認したいこと

  • 最大突出しと推奨突出し(メーカー推奨の範囲内か)
  • 対応回転数やバランス(回転工具の場合)
  • クーラント供給の方式(内径は特に影響します)

数値的な適合や安全条件は機種・製品で変わるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。無理な条件で使うと工具破損や事故のリスクがあるので、最終的な判断は専門家にご相談ください。

旋盤加工とボーリング対策

旋盤、とくにボーリング(中ぐり)はビビリの定番です。内径は工具が細長くなりやすいし、音がこもるので兆候に気づきにくい。気づいたら面が荒れて寸法も飛んでる、あるあるです。しかも、内径は一回ミスると再加工も難しくて、部品が詰むこともあるので、ここは“予防”が超大事です。

ボーリングで優先する打ち手

  • 突き出し最短:まずここ。これで止まることが多いです
  • バー径を太く:可能なら一段太くするだけで別物になります
  • 切粉詰まり回避:切削油・クーラント・チップ形状で抵抗の揺れを減らす
  • 切込みを欲張らない:内径は負荷の跳ね返りが大きいです
キリコン
キリコン

旋盤加工の場合は、「切込み量だけで止まらない時はノーズRを小さくする」という選択肢も有効ですよ

内径は“切粉と熱”がビビリを増幅しやすい

内径は逃げ場が狭いので、切粉が溜まると一気に抵抗が増えます。抵抗が増えるとたわみが増える。たわみが増えると再生ビビリが育つ。さらに熱で刃先がダレると、切削が安定しなくなる。だからボーリングは「切粉の流れ」と「冷却」を真面目に作るのが効きます。クーラントの吐出位置を変えるだけで止まること、普通にありますよ。

長尺ワークの外径は“支持”が最短ルート

外径でも長尺ワークは揺れます。芯押し台、振れ止め、中間支持。地味だけど効きます。条件を下げ続けるより、支持を増やした方が能率も面も両方取れるケースが多いです。「支持を増やすと段取りが面倒」と感じるかもですが、再加工や不良処理のコストを考えると、だいたいトータルで得です。

加工シーン起きがちな問題効きやすい対策
深穴ボーリング剛性不足・切粉詰まり突出し短縮・バー径アップ・クーラント改善
薄肉内径仕上げワーク変形・共振当て治具・切込みを控える・回転数を外す
長尺外径旋削ワーク振れ・面荒れ芯押し・振れ止め・送りと回転数の最適化
溝入れ・突切り工具突出し・負荷変動突き出し最短・切粉排出・条件の段階変更

なお、ここで触れた突出し比や条件の話は一般的な傾向です。材質、チップ形状、機械剛性、ホルダー、クランプで結果は変わります。正確な情報は工具メーカーの公式情報をご確認ください。最終的な判断は現場の加工担当者や専門家にご相談ください。

ビビリマップと安定性ローブ図

ビビリマップと安定性ローブ図

ビビリマップ(安定性ローブ図)は、回転数と切込み量の組み合わせで「安定しやすい帯」を探す考え方です。難しそうに見えますが、現場で使う目的はシンプルで、共振しやすい回転域を避けるための地図だと思えばOKです。理屈はさておき、要は「この回転数帯は鳴きやすい」「この辺は同じ切込みでも平気」みたいな“当たり”が存在する、という話ですね。

ローブ図の現場解釈

  • 同じ切込みでも、回転数を変えると急に安定するポイントがある
  • 逆に、ちょっと回転数を上げただけで急に荒れる帯もある
  • だから「回転数は上げ下げ両方向で探す」のが効く

“図”を描かなくても、考え方は使える

実際のところ、現場では厳密な図を引かなくても、回転数を少しずつ振って「安定する回転数」をメモしていけば、それが簡易的なビビリマップになります。次回同じ材質・同じ突出し・同じ保持で加工するときに再現しやすいので、段取りの資産になりますよ。特に量産や類似形状が多い現場では、これが効いてきます。

安定性ローブ図の“ありがたさ”は試行回数が減ること

ビビリ対策って、手当てが当たるまで試行錯誤になりやすいですよね。ローブ図の発想を持つと、回転数の動かし方が“狙い撃ち”になります。むやみに下げるのではなく、共振帯を飛び越える、逆方向も試す、切込みとの組み合わせで安定帯を探す。これができるだけで、ムダ打ちが減ります。

簡易ビビリマップの作り方(おすすめ)

  1. 現行条件で鳴く回転数を記録する
  2. ±5%刻みで“鳴かない回転数”を探して記録する
  3. 切込みを1段変えて、同じ回転数で鳴く/鳴かないを追記する
  4. 工具・突出し・保持が変わったら別シートにする

もちろん、理論的なローブ図は工具・主軸・ワークの動特性が絡むので、厳密には測定や解析が必要になります。そこまでやるかは現場の目的次第。まずは「回転数に当たり外れがある」という理解だけでも十分価値があります。

切削加工のビビリ対策まとめ

切削加工のビビリ対策は、回転数を触る前に「弱いところ」を潰すのが結局いちばん速いです。僕のおすすめの順番は、突き出し短縮→保持強化→切粉詰まり回避→回転数調整→切込み・送り最適化。ここを外さないだけで、試行錯誤の回数が減ります。あなたの現場でも、まず“弱点の特定”から入ると、驚くほどラクになると思いますよ。

症状ありがちな原因最初の一手
甲高い鳴きと波模様再生ビビリ、突出し過多回転数を±5%で外す+突き出し短縮
面がランダムに荒れる切粉噛み、刃先欠け切粉排出と工具先端確認
内径で突然暴れるボーリング剛性不足突出し最短+バー径見直し
条件を触っても止まらない保持弱い、機械側のガタクランプ・芯押し・治具の再点検

最後に:安全と品質のための一言

ビビリが強い状態で無理に加工を続けると、工具破損やワーク不良だけじゃなく、機械への負担も増えます。特に内径や細径工具は折損のリスクが上がるので、音が出たらいったん落ち着いて、原因を潰してから再開するのが安全です。

加工条件や対策の効き方は、材質・工具仕様・機械剛性・クランプ状態で大きく変わります。この記事の内容はあくまで一般的な目安として捉えつつ、正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

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